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綿矢 りさ
河出書房新社
(2007-02-08)
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幼い頃から芸能界で生きてきた美しい少女、夕子。
彼女の体に流れる18年と、少女を取り巻く残酷な世界。
怖い作品だった。
芸能界に入っても自分を特別だなんて思わなかった賢い夕子。
でも周囲はそうは思わない。
成長していくにつれて、周りの期待に応えるかのように
阿部夕子というキャラクターだけをテレビの中に登場させるようになる。
友達はできない。
仕事で疲れ果て授業にもついていけない。
悲惨だ。
ラスト、夕子は大人になったのだろうか。
それとも壊れただけ?
なんにしろ、夕子が受けた仕打ちは彼女の人生を壊すには
大きすぎる力を持っていた。
なんにも良いことなんてなかったじゃないか。
才能ではなく、自分のイメージ切り売りするタイプの芸能人て
生きるのが大変だと思わされた。